今日は2011年3月11日に発生した東日本大震災発生から14年目の日です。

改めて被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
そして大切な方々を亡くされた皆様に、謹んでお悔やみを申し上げます。

私はその頃、関東に住んでいました。地震発生時は、立っているのも難しいほどの横揺れを感じました。通常は会社から自宅まで車で30分のところ、その日は交通機関も麻痺して影響のため約4時間かけて帰宅したことを思い出します。

皆様は「津波てんでんご」を聞いたことはありますか?

津波発生時に「てんでんばらばらになって、すぐに逃げよ」という意味の防災標語です。
一見すると自己中心的に聞こえて、批判の対象となることもあります。
しかし、これは長年の津波被害の経験から生まれた重要な教訓です。

 

京都大学防災研究所の矢守克也教授は、この言葉には4つの深い意味が込められていると仰っています。それは、以下の4つ。

 

・自助原則の強調

・他者避難の促進

・相互信頼の事前醸成

・生存者の自責感の低減

 

1つ目の意味:自助原則の強調

「自助原則の強調」とは、津波から命を守るためには、家族や友人のことも気にせず、まずは自分の命を守るために逃げることを意味します。津波の破壊力と速さは尋常なものではなく、助けようとして近づけば、共倒れになるリスクが高くなります。

 

そのため、自分の命は自分で守ることを最優先にするのが鉄則です。これは1人でも多くの人が助かるために必要な考えなのです。

 

2つ目の意味:他者避難の促進

「他者避難の促進」とは、避難を開始した人の行動が、周囲の人々の避難行動のきっかけとなることを意味します。1人が逃げ始めることにより、その姿を見た人々も避難を始め、連鎖的に避難の輪が広がっていきます。

 

つまり、てんでんこは、単に自分だけが助かるためのものではなく、周囲の人々の命も救う可能性を持つ行動と言えます。

 

3つ目の意味:相互信頼の事前醸成

「相互信頼の事前醸成」とは、家族や地域の人々が事前に「てんでんこ」で避難することを約束し合い、互いを信頼することです。

 

たとえば、親は学校にいる子どもが確実に避難することを信じ、子どもも親が自分を探しに来ないことを信じます。このような信頼関係があってこそ、迷いなく避難できます。もし事前に約束がなければ、親は子どもの安否を確認しようと探しに行き、その結果、津波の犠牲になってしまう可能性があります。

 

そのため、日頃から家族で避難方法を話し合い、お互いを信頼し合う関係を築いておくことが大切なのです。

 

4つ目の意味:生存者の自責感の低減

「生存者の自責感の低減」とは、大切な人を助けられなかった生存者の罪悪感を和らげる効果があるということです。てんでんこの約束があれば、「あの時、助けに行かなかった」という後悔や自責の念から、生存者はある程度解放されるでしょう。

 

そのため、被災後を生きる人々の心理的な支えとなる重要な意味を持っていると言えます。

※参考:矢守克也「『津波てんでんこ』の4つの意味」

 

この言葉は、100年以上前に襲った津波の際に作られたものだが、津波てんでんごの言葉はいつしか薄れていたとか。この言葉や教訓が語り継がれていたら、多くの命が助かったと思うと悔やみきれません。

 

この悲しみを再度起こさないようにするためには、今生きている私たちが、学び、語り継ぐことでしか方法はないのでしょう。

 

首都直下型地震、南海トラフ地震などが来ると予想されていますが、改めて、企業も個人もリスクマネジメントの重要性を認識しています。

 

津波てんでんご。

本当に深い言葉ですね。

 

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」と言いますが、ことわざ、四文字熟語、古典などからの学びは多い。知っているか、知らないかで、教養が出たりもします。やはり学び続けなければいけませんね。

 

『今日という日は、誰かの生きたかった1日だったかもしれません』

最後になりますが、これはアメリカの先住民の方が言っていた言葉です。

 

大切な方との時間を大切に、良い一日をお送りください。

 

Rita Trust
代表 森山  飛鳥

 

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